「恋人たち」THE LOVERS ゾンビタロットアドヴェントカレンダー
関係性にまつわる責任と覚悟
満月の晩、咲き誇る薔薇の中。
二人の男女が抱き合い、キスをしています。
恋愛や性愛、パートナーシップを描いたカードに見えます。
これは二つのものが結合し、まざりあうという「関係性」にフォーカスしたカードです。
そこにまつわる責任と覚悟を突きつけるカードでもあります。
異質なもの同士の組み合わせ
この男女は、よく見るとゾンビと人間です。
同じ場所にいることすら大問題を引き起こす、別種の存在同士が愛を交わしている。
このカードの意味する関係性とは、「まったく異質なもの同士の組み合わせ」ということなのです。
男と女、ゾンビと人間、生と死、意識と無意識・・・
そういった相反する性質のものが、いかにして統合され溶け合うことができるのか。
それを問うているのです。
模範や禁止を超えた関係
ゾンビと人間の恋愛関係とは、今までの常識では信じられなかったものです。
最近でこそ、ゾンビとのラブストーリーを描いたゾンビ映画もありますが、それまではありえないものでした。
ありえなさを超えて落ちる恋とは、今までの条件設定や模範、禁止事項、束縛からの自由を意味しています。
ゾンビと人間の恋愛を描いた映画「ウォーム・ボディーズ」
ゾンビなのに恋愛映画ってビックリしたね
自分の欠点を相手に委ねる
この二人の姿は無防備で、下着しか身につけていません。
自分の弱さをさらけ出さなければ結ばれない関係なのです。
だからこそ互いの弱点を補いあいます。
ゾンビ女性は死体なので、肉体が腐って死臭がしている。
それに対して男性が香水を持って匂いについてのフォローをしています。
自分の弱点を自分でカバーするのではなく、相手に委ねてしまう。
それこそが異質なもの同士の「結合」ということなのでしょう。
死臭を隠す香水
欠点をごまかしてるだけとも
相手との関わりの中、自分が自分でなくなる覚悟
しかしこのゾンビと人間、本当にうまくやっていくことができるのでしょうか？
現にこの男性は心臓をゾンビ女性に奪われていますし、ゾンビ化する危険だってありえる。
奪われた心臓
恋してる場合なのか
もしかするとこの男性は、相手がゾンビであることから目をそらしているのかもしれません。
自分自信を無防備にさらけ出し、まったく異質なものと関係を結ぶことにはリスクもつきまといます。
関わることで互いに変化を与え、自分が自分でなくなっていく、相手を別物に変えてしまう。
その可能性に対し、覚悟と責任を引き受けることができるのか？
「恋人たち」はそうした選択と、決断を求めてくるカードでもあるのです。
