「ワンドのエース」ゾンビタロットアドヴェントカレンダー
昨年、ゾンビタロットアドヴェントカレンダーと称して、大アルカナの記事を毎日書いておりました。
zombietarot.hatenablog.com
今年は小アルカナから「ワンド」を取り上げてみたいと思います。
出遅れたので、一日一枚ペースだとクリスマス過ぎますが、気にしないで行きます。
第一回は「ワンドのエース」です。
ワンドのエース
ワンドは小アルカナの4つのスートの一つ。
四元素の中の「火」を司り、情熱やモチベーション、活力、アイデア、自立心、性的エネルギーなどを意味します。
ワンドは大腿骨
ゾンビタロットのワンドは人間の大腿骨がシンボル。
大腿骨は人体の骨の中で一番長くて頑丈な骨です。
足の骨であることから「自立」などが連想されます。
スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」では、類人猿がはじめて手にする道具が動物の大腿骨であり、人類文明化のはじまりとして描かれています。
「これをこう使ったらどうなる?」というひらめきや、これまでにない独創性はワンドの管轄です。
またここではぶん殴ったり威嚇のための道具として使われており、「力のアピール」という意味合いもあります。
また、海賊旗のマークは頭蓋骨と2本の交差した大腿骨です。
海賊は統治国家の影響力を受けない自立した存在で、武力も持っています。
「自立性と強さ」、また「人を威圧する」というのもワンドのエネルギーです。
情熱のはじまりは、焦点化によって起こる
ワンドのエースは大腿骨を軽く握ったゾンビの手が画面左を指差しており、それに黄色い照準マークが重ねられています。
指差しも照準も「どこか一箇所のポイントを指し示し、焦点を定める」ためのものです。
ここでは「ターゲットが絞られる」のです。
意識が一点に集められるからこそ、そこに注ぎこむべき情熱やモチベーションが生まれてくる。 対象が散漫だったら熱を込めることができません。
ワンドのエースは「一点集中」を表します。
右から左への指差しで、神が人間に命を吹き込む
ミケランジェロの「アダムの創造」では、指差しが重要なモチーフとなっています。
旧約聖書の『創世記』に記された神が、最初の人類たるアダムに生命を吹き込む場面
指先からアダムに生命を授けるために神の右腕は伸ばされ、神の似姿で創られたアダムの左腕も同じように伸ばされている。 アダムの指先と神の指先は触れ合ってはおらず、生命の与え手たる神がアダムに生命を吹き込もうとする、まさにその瞬間を描いた作品となっている。
画面右から指さされる神の右手は、土から作られたアダムの体に命を吹き込もうとしています。
今まで存在しなかった新しいなにかを作り出す、これもワンドのエネルギーです。
ワンドのエースの指先は、死んだ人間の肉体にゾンビとしての活動力を吹き込むため差し出されているのではないでしょうか。
また「はじめてゾンビが人間の肉を食べた」というシーンでもあり、ここでも「はじまり」が強調されています。